来る令和5年(2023)は、弘法大師空海(774~835)のご誕生1250年という大きな節目にあたります。
本展はこれを記念し、空海が開いた高野山金剛峯寺の名宝約40件(うち国宝5件、重要文化財25件)を選りすぐって紹介するものです。唐へ渡り、密教の正統を受け継いだ空海は、弘仁7年(816)、密教の奥義を究める修行の道場として、嵯峨天皇より勅許を得て高野山を開きました。
承和2年(835)に奥之院において入定し、今なおこの地で衆生の救済のために祈りをささげていると信じられています。
開創以来の1200年の歴史の中で、高野山は真言密教の聖地として、また空海を慕う人々の憧れの地として、時代や宗派を超えた信仰を集めてきました。皇族や貴族、また有力大名ら時の権力者が、当時の最高の技術をもって制作させた仏像、仏画、工芸品などを寄進し、その結果わが国でも最大規模にして最高水準の仏教美術の宝庫が形成され、歴史的・文化的に世界に誇る数々の文化財が今日まで大切に守り伝えられてきたことから「山の正倉院」とも言われています。
本展を通して、空海の精神と壮大な高野山の歴史に育まれたわが国の文化の精髄に触れていただければ何よりです。
また、高野山と伊予とのつながりを示す資料も併せてご紹介します。
※展示期間:10/1(土)~14(金)、11/7(月)~20(日)左記以外の期間は複製を展示
空海が24歳の時に著した全長10メートルに及ぶ「出家宣言書」。力強い書体に、若き空海の高邁な決意がみなぎっている。《風信帖》《灌頂歴名》と並ぶ空海真筆の名品。
真言密教の正統な後継者であることの証として、空海が唐から持ち帰ったものと伝わる白檀製の仏龕。空海が片時も離さなかったことから「枕本尊」の呼称がある。
写実的な作風で従来の様式を一新した天才仏師・運慶の代表作。動きのある姿勢や、童子らしい活発な表情など、優れた技量と巧みな創意が尽くされている。
※《八大童子立像》は、恵光童子像、烏俱婆誐童子像の2軀を展示
快慶の無位時代(建仁3年<1203>以前)の作。特に快慶自身の銘が刻まれた広目天像は軽快さと安定感を両立した動態表現が見事。
※《四天王立像》は、持国天像、広目天像の2軀を展示
高野山にのこる最古の仏像。空海の甥といわれ、空海入定後に高野山の経営にあたった真然が建立した西塔に安置されていた。
※展示期間:10/1(土)~23(日)
空海が宮中の神泉苑において雨乞いの修法を行った際に現れた善女龍王を描いたものと伝わる。平安時代の仏画で作者が判明する作例として極めて貴重。
空海の誕生から入定までの生涯と数々の事績を絵画化した絵巻。空海が唐から投げた三鈷杵が高野山の松に掛かっているのを見つけ、伽藍建立を決意する場面。
行者が携えることで、内なる煩悩を打ち砕き、修法の場を浄化する金剛鈴。
尖鋭な切っ先(独鈷杵)を把とし、鈴身には四天王像が配される装飾性豊かな優品。
高野山 別格本山 金剛三昧院 蔵
戦国時代末期の伊予國守護河野家が宿坊とした上蔵院に伝来した史料のうちの一つ。
河野通直(?-1572)の肖像画と伝わる。愛媛では95年ぶりの公開。
展覧会特別動画
※表記がないものはすべて金剛峯寺 蔵
【お問い合わせ】
「国宝 高野山金剛峯寺展」実行委員会事務局
(あいテレビ営業推進部内)
TEL:089-921-2192(平日9:00~17:30)