「有言実行」 日本人初のマスターズ制覇 松山英樹選手
「有言実行やな・・・」
ポツリと漏らしたその一言に込められた思い、
そして積み重ねられてきた時間の重み・・・
日曜午後、西日に浮かび上がる18番グリーンで
拍手喝采を全身に浴びる息子・英樹さんの姿を
テレビの画面越しに見つめる 父・幹男さん。
「今まで 小さい時から 思い出したら
やはり涙がこみあげてくる・・・」
97年タイガーウッズがマスターズで初優勝したその瞬間、
栄光の「グリーンジャケット」は
親子の約束であり、目標となった。
「おなじことを やろう」
あれからおよそ四半世紀の時が過ぎ、
同じオーガスタの18番グリーンで西日に顔を赤らめる松山英樹選手。
日本人初のメジャー制覇、マスターズ優勝という偉業。
その壮大な物語を、少しだけ近く感じることができたこと
感謝してもしきれない。
そんな歴史的偉業のはじまりとなった
あの日の「1枚のクリーム色の紙」。
私のつたない言葉で恐縮すぎるが、
当時の様子をもう一度だけここに紹介する。
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2011年1月 6日(木)
その手は全く震えていなかった。
重さ、わずか数グラム。
その1枚の紙を過去どれだけ多くのゴルファーが
待ち焦がれてきたことか。
『マスターズの招待状』
その上品なクリーム色の厚紙と初対面を果たしたのは
松山市出身、松山英樹選手。
あと7時間後には年も改まろうかという大晦日の午後5時、
愛媛、松山市内のゴルフ練習場のロビーは
家族やゴルフ仲間で祝福ムードに包まれた。
しかし歴史的な出来事にも、
18歳らしからぬ落ち着きの中・・・
「この紙切れで、すごい所に行けるんだなという感じですね」
両手の指先で招待状をつまむようにして
顔のそばに近づける。
その紙の重みは―
「紙自体は軽いんですけど・・・」
「書いてある内容はちょっと読めないんですけど・・・」
「すごく重いものだと思っています」
ゆっくりだが、自分の言葉で語る松山選手。
実感はこれから徐々に体の隅々にまで広がっていくのだろうが
興奮気味の周囲の笑顔には思わず表情も緩んだ。
「小さい頃からお世話になっている方々がいる場所で
封を開けることができてよかったです。
夢の舞台なので楽しく頑張って来たいと思います」
そして年が明けてきょう―
仙台市の東北福祉大学で記者会見に姿を見せた松山選手。
招待状と共に過ごした1週間、相性も良さそうな印象だ。
―マスターズに出る他の日本人選手については?
「特に気にしていません」
記者からの質問にも表情は変わらない。
―同い年の石川遼選手や先輩の池田勇太選手も出ますが?
「・・・はい(笑)」
そう・・・それでいいと思う。
マスターズでプレーするのは自分であり、
世界標準を初めて計るのに「既存の物差し」は何の役にも立たない。
把握すべきは自分自身そのもので、
爪の先まで神経を尖らせて臨むのみだ。
16番ホールに代表される「ガラスのグリーン」、
11番から13番ホールの「アーメンコーナー」
立ちはだかる難コースに「技」と「心」を丸裸にされてなお、
世界中から集結したパトロンたちの前で
次ぎの1打に集中できるかどうか―。
「夢の舞台なので、楽しく頑張っていきたいと思います」
2011年4月7日。
アメリカジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ。
開幕日の1番ティグラウンドに、
どんな表情の松山英樹が立っているのか。
待ち遠しい限りである。
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(11年1月6日 ブログより)
そんな松山英樹選手のマスターズ制覇を記念して
5月1日(土)16時54分~
番組を放送いたします。どうぞご覧ください。
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