高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2021年4月27日(火)

「有言実行」 日本人初のマスターズ制覇 松山英樹選手

「有言実行やな・・・」

ポツリと漏らしたその一言に込められた思い、

そして積み重ねられてきた時間の重み・・・

日曜午後、西日に浮かび上がる18番グリーンで

拍手喝采を全身に浴びる息子・英樹さんの姿を

テレビの画面越しに見つめる 父・幹男さん。

「今まで 小さい時から 思い出したら

        やはり涙がこみあげてくる・・・」

97年タイガーウッズがマスターズで初優勝したその瞬間、

栄光の「グリーンジャケット」は

親子の約束であり、目標となった。

「おなじことを やろう」

あれからおよそ四半世紀の時が過ぎ、

同じオーガスタの18番グリーンで西日に顔を赤らめる松山英樹選手。

日本人初のメジャー制覇、マスターズ優勝という偉業。

その壮大な物語を、少しだけ近く感じることができたこと

感謝してもしきれない。

そんな歴史的偉業のはじまりとなった

あの日の「1枚のクリーム色の紙」。

私のつたない言葉で恐縮すぎるが、

当時の様子をもう一度だけここに紹介する。

********************

2011年1 6日(木)

「紙の重み」

その手は全く震えていなかった。

重さ、わずか数グラム。

その1枚の紙を過去どれだけ多くのゴルファーが

待ち焦がれてきたことか。

『マスターズの招待状』

その上品なクリーム色の厚紙と初対面を果たしたのは

松山市出身、松山英樹選手。

写真①.jpg

あと7時間後には年も改まろうかという大晦日の午後5時、

愛媛、松山市内のゴルフ練習場のロビーは

家族やゴルフ仲間で祝福ムードに包まれた。

しかし歴史的な出来事にも、

18歳らしからぬ落ち着きの中・・・

「この紙切れで、すごい所に行けるんだなという感じですね」

写真②.jpg

両手の指先で招待状をつまむようにして

顔のそばに近づける。

その紙の重みは―

「紙自体は軽いんですけど・・・」

「書いてある内容はちょっと読めないんですけど・・・」

「すごく重いものだと思っています」

ゆっくりだが、自分の言葉で語る松山選手。

実感はこれから徐々に体の隅々にまで広がっていくのだろうが

興奮気味の周囲の笑顔には思わず表情も緩んだ。

「小さい頃からお世話になっている方々がいる場所で

封を開けることができてよかったです。

夢の舞台なので楽しく頑張って来たいと思います」

写真③.jpg

そして年が明けてきょう―

仙台市の東北福祉大学で記者会見に姿を見せた松山選手。

招待状と共に過ごした1週間、相性も良さそうな印象だ。

―マスターズに出る他の日本人選手については?

「特に気にしていません」

記者からの質問にも表情は変わらない。

―同い年の石川遼選手や先輩の池田勇太選手も出ますが?

「・・・はい(笑)」

そう・・・それでいいと思う。

マスターズでプレーするのは自分であり、

世界標準を初めて計るのに「既存の物差し」は何の役にも立たない。

把握すべきは自分自身そのもので、

爪の先まで神経を尖らせて臨むのみだ。

16番ホールに代表される「ガラスのグリーン」、

11番から13番ホールの「アーメンコーナー」

立ちはだかる難コースに「技」と「心」を丸裸にされてなお、

世界中から集結したパトロンたちの前で

次ぎの1打に集中できるかどうか―。

「夢の舞台なので、楽しく頑張っていきたいと思います」

2011年4月7日。

アメリカジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ。

開幕日の1番ティグラウンドに、

どんな表情の松山英樹が立っているのか。

待ち遠しい限りである。

******************

(11年1月6日 ブログより)

そんな松山英樹選手のマスターズ制覇を記念して

5月1日(土)16時54分~

番組を放送いたします。どうぞご覧ください。

20210412_145543 (1).jpg

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