高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2020年05月25日(月)

白球の消えた夏と夢の続き

「そうそう、この感じ・・・

いいですよね、野球って」

今月20日、

愛媛マンダリンパイレーツの

練習取材に行くと、

この日は「紅白戦」だった。

    *** 

新型コロナウイルスの影響で

未だ開幕日が決まらないものの

全体練習は再開している選手達。

対外試合はままならないが、

「罰ゲーム」をかけた!?

真剣勝負の紅白戦は、

緊張感もみなぎり、

迫力の攻防が繰り広げられ、

サヨナラで決着がつくなど

十分に見応えがあった。

    ***

そしてそれは、試合後の

ミーティングの時のことだった。

「河原純一監督」が、

「A投手」を問い詰める。

●河原監督

「A!お前あのバント処理の時

一瞬2塁見ただろ。なぜ見た?」

●A投手

「間に合うかもと思ったからです」

●河原監督

「最終回で点差は? 3対1で

自分たちがリードしてるんだろ。

ノーアウト1塁で送りバント、

アウト1つくれるってんだから

ラッキーって貰えばいいじゃん。

1点取られたっていい訳でしょ。

2塁封殺なんか狙わなくたって、

迷わず1塁に投げて確実に

アウト1つ増やせばいいじゃん」

      ***

このバント処理で、

A投手は捕球の直後、

一瞬1塁ランナーの動きを見た。

その動作は確かよどみなく

行われたように見えた。

ところがその無意識に近い動きを

挟んだことにより状況は変化し、

ランナーの足も速く、

1塁へ投じたものの

1塁2塁オールセーフ。

1アウト2塁のはずが、

ノーアウト1、2塁と

ピンチが拡大した。

ここからA投手はリズムを崩し、

フォアボールに連打で失点し、

最後はタイムリーヒットを浴びて

サヨナラ逆転負け―

     ***

●河原監督

「あのバント処理で

確実にアウトを取っていれば、

打順の巡りも変わってくるし、

相手もプレッシャーを感じるし、

結果だって変わってくるんだよ」

そして、こう続けた。

「もっと1球を大事にしろよ!」

      ***

野球は

「わずか1球で成長できる」

スポーツだ。

ましてや「1試合」あれば・・・


そんな時だった。私のスマホが、

ブルブルと騒ぎ始めたのは。

そして、この直後、

全国の高校球児たちに

衝撃が走った。

**************

日本高野連は、

夏の甲子園大会の中止と

各県予選の中止を決定―

**************

3月、選抜高校野球が中止になり

春のブロック大会と県予選が

中止された。

「それなら最後の夏に

      かけてやろう」

全国の3年生球児が心に誓い

練習もままならない中

知恵と笑顔を絞り出し

SNS越しに励ましあってきた。

青春の奇跡を信じ続けながら

黙々とバットを振り

壁に向かい腕を振り続けてきた。

***************

また、みんなで野球がしたい―

***************

しかし高校球児たちは戦わずして

夢を諦めることを強いられた。

夢に挑戦することさえ

許されなかった。

20200416_103636.jpg

当たり前のように

ボールを握っていたことが決して

当たり前ではないことを知った

2020年。

しかし「野球が好きだ」

という思いに素直になれた今、

目の前の「1球」は

かつての1球よりずっと重く、

「1イニング」は

かつての1イニングより遥に長く

「1試合」は、「人生」にも

置き換えられるほどかもしれない

       ***

もしも―

真夏の坊っちゃんスタジアムに

彼らが再び集うことができたら、

その「1試合」は

もうただの「1試合」ではない。

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