高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2020年02月22日(土)

「内股透かし」の光と影 20年の時を越えて


「内股透かし」


ましてや「フランス人選手」が相手となれば

やはり思い出してしまいますよね。

 

"世紀の誤審"

 

あれから20年―

あの日、日本人の胸に残ったモヤモヤを

ド派手に晴らしてくれたのは、

なんと「愛媛」の若き柔道家でした。

 

現地時間の2月8日、

フランスはパリで開かれた「柔道グランドスラムパリ大会」の

男子100キロ超級で、

新田高校出身、24歳の「影浦 心」選手が大金星を挙げました。

 

3回戦の相手は、地元フランスの「テディ・リネール」選手、30歳。

ロンドン五輪金メダル、リオ五輪金メダル。

それらを含めて公式戦10年間無敗の絶対王者。

 

179センチ、120キロの影浦。

204センチ、141キロのリネール。

 

試合は本戦4分間では決着つかず、

ゴールデンスコア方式の延長戦へ。

小柄な影浦との身長差は25センチ、けんか四つの体勢。

奥襟を掴まれ主導権はリネールでした。

 

しかし影浦に「狙っていた」という局面が訪れたのは

延長35秒過ぎ。

内股を仕掛けたリネール、

しかし影浦は、跳ね上げられた右足を

ここしかないというタイミングで透かすと、

支えを失ったリネールの巨体は本人の意思とは裏腹に

横倒しになり、その上に白い胴着の影浦の体が落ちてきました。

 

「技あり」

 

この瞬間、リネールの国際大会の連勝を「154」で止めた「影浦」。

「100キロ超級」の東京オリンピック代表選考レースでは、

リオ五輪と去年の世界柔道で銀メダルの「原沢久喜」に次ぐ2番手ながら、

この快挙は「世界の柔道界に衝撃を与え

「原沢絶対」のムードに待ったをかけました。

 

 

勝利を決めた「内股透かし」。

その言葉の響きは、これまで日本人にとっては

つらい出来事として記憶され、

当時の私も、NHKの道谷アナの声と共に叫んでいました。

 

「一本でしょう!」

 

2000年シドニーオリンピック

柔道男子100キロ超級決勝

篠原信一 対 ダビド・ドイエ

 

この"世紀の誤審"を生んだ一戦については、

当時の私も鼻息荒く、なんと「キャッチあい」でも取り上げていました。


20200222_130941.jpg
2000年シドニーオリンピック 柔道競技会場

(日本オリンピック委員会HPより)


**********************************


【2000年10月2日(月) 「キャッチあい」OAから】

 

(リード)

今回のシドニーでは柔道男子100キロ超級の決勝で

日本の篠原信一選手が、疑惑の判定で「銀メダル」となりました。

非常に後味の悪い思いをした方も多いと思いますが、

なぜあのようなことが起きたのか、そしてあの「事件」から学ぶことについて

愛媛でも考えてみました。

 

(VTR)・・・(映像はu-tube等でご確認を_(._.)_

篠原選手はドイエ選手の内股を透かし、一本を確信します。

この時、ひとりの副審は「一本」を揚げましたが、

もう一人の副審と、モナガン主審は「有効」。

しかもポイントは「ドイエ」選手に与えられました。

 

試合後、この判定は覆ることなく、世界最強の男、篠原は

2番目に高い台の上で涙を流しました。

 

この一戦について、審判歴20年以上のキャリアを持つ

棟田利幸さん(棟田康幸選手の父)は、

「試合後にアピールをした日本側にも問題があった」と指摘します。

 

一方、アトランタオリンピック強化コーチの濱田初幸さんは

審判の質に疑問を投げかけます。

問題の場面、篠原選手とドイエ選手は×印、

モナガン主審と2人の副審は、ご覧の位置にいました。

(映像はu-tube等でご確認ください_(._.)_・・・立ち位置の問題を指摘)

 

選手と審判の信頼で成り立っているスポーツ競技。

しかし今やここに「観客との信頼」を外すことはできません。

観客は、分かりやすく透明性の高いルール、判定を求め、

そしてそれが競技の質を高めることにもつながるからです。

 

商業主義、ドーピング問題など、オリンピックの在り方が問われている今、

疑問を放置せず声をあげること。これが21世紀に向けて

スポーツに携わるものに課せられた義務なのかもしれません。


************************************** 


この問題で、「国際柔道連盟」は、五輪後の2000年10月30日に

チュニジアで開いた理事会で、

高度な返し技を主審が見抜けなかったのが原因で

ドイエの有効は誤審との見解を発表しました。

 

あれから20年、きのう開幕したサッカーJ1では

今シーズンから導入した「VAR」(=ビデオアシスタントレフリー)を

さっそく使用するなど、ラグビー、野球、テニスなどでも

映像判定が導入されています。

 

もちろんフェアであるべきスポーツの世界では自然な流れと言えますが、

フィギュアスケートや柔道など映像判定を導入していない競技もあります。

長い年月をかけて競技者として、指導者として、審判員として

養ってきた目でしか理解しえない判断基準もあるはずです。

 

映像判定の導入の良し悪しをここでは取り上げません。

 

ただ、競技者レベルの向上や技の進化を正当に評価できないジャッジシステムでは

競技そのものの質を下げることに繋がるのは

昔も今も変わりありませんよね。


20191208_090804.jpg

(えひめ武道界の聖地 愛媛県武道館)



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