高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2016年1月25日(月)

「1分20秒」のラスト1プレー

 

「ブオオーン」

 

ラスト1プレーを告げるフォーンが鳴り響いた。

 

 

東京、秩父宮ラグビー場。

ラグビートップリーグ優勝決定戦

赤の「東芝」vs青の「パナソニック」

 

 

後半40分 パナソニック27―21東芝

得点差は6点。

1トライ1ゴールは7点。

そしてボールは、追いかける「赤」の手元にあった。

 

 

自陣10メートルライン少し内側。

ゴールラインまで、残り63メートル。

 

 

そしてスクラムが組まれ、

「赤」の「21番」、スクラムハーフの両手から楕円のボールが放たれた。

 

全てはスローモーションのように、

 

「左へ」1人飛ばし、次も1人飛ばし、そして「13番」に渡った。

 

―さあ勝負

 

1本目の青い矢をかわし、

2本目の青く低い矢もかわすと、

歓声は、明確な「意志」を持った音の塊に変わり背中を押した。

 

そして3本目の青い矢が突き刺さったが、

すでにボールは空中を舞い、

トップギアの「15番」へ。

 

 

―行ったか

 

 

しかし残り10メートル、「青」につかまる。

それでも雪崩のように襲い掛かる「赤」

そして渾身のロングパスが右へ。

 

「21番」から「13番」、

そしてポスト正面「14番」が最後に信じたプレーは

 

 

「キックパス」

 

 

ゴールライン手前でワンバウンド・・・

 

次ぎの瞬間、「楕円」のボールは意志をもったように

 

少しだけ左に跳ね上がった―

 

ボールの目の前にいた青の「2番」は振られ

 

最後は「赤」の23番がインゴールに抑えた。

 

 

トライ

 

 

「2万4557人」の秩父宮が揺れた―

 

 

フォーンが鳴って、「1分20秒」が過ぎていた。

 

 

 

結局、「赤」の直後のキックはゴールポストをそれ、

試合は「青」が「27-26」で「赤」を破り優勝を決めた。

 

〇パナソニック27-26東芝●

 

 

しかしその勝敗以上に

2015-16シーズンという日本のラグビー史に残る

歴史的な1年を締めくくるにふさわしいファイトは、

 

勝敗を越えて、

ファンと選手が「2019年」へ

共に歩む「決意」と「覚悟」を固めた一戦となったに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

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