音の反撃
それは「3塁側」のスタンドから突然鳴り響いた。
夏の高校野球愛媛大会の開会式直後の1回戦。
5回を終了して9対2。
リードしていたのは「1塁側」に陣取る「東温」。
リードを許していたのは「今治南」。
そしてグラウンド整備が始まったその時。
およそ20人、ビシッと列をなし、
両手にバチを握った制服姿の女子生徒たちが
「音」で反撃に出た。
ダダダ、ダダダ、ダダダ、ダン!
カッ、カッ、カッ!
その小気味よく刻まれるビートは
激しく、一体となり、
夏空に向かって次々に解き放たれていく。
そして3分後、
集めるだけ集めた視線の持ち主たちから浴びた喝采。
もし、あと3点多く取られていたら
5回コールドで終わっていたこの試合。
リードされながらも今治南ナインの踏ん張りが
スタンドの「ドラムライン」に
晴れの舞台をプレゼントした。
―テレビじゃ見られない熱球劇場―
そして試合が再開された。
(画面中央 今治南の「ドラムライン♪」)
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