高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2009年7月28日(火)

敗戦のマウンドで進化した平井

平井がおかしい・・・

 

もう誰の目に明らかだった。

2回ウラ、西条7番からの下位打線を相手にボールが先行していく。

球速はすでに130キロ台。

自慢の速球も影を潜めていた。

 

8時半開始の第1試合。西条 vs 帝京第五。

スタンドはこの夏の大一番を目に焼き付けよう・・・

 

いや、見るべきだ・・・

 

いえ、自分には見る義務がある!

 

という野球王国ファンの自覚はピークに達していた。

 

s-準々決勝の坊スタ.jpg 

 

変化の兆しは初回から見えた。

 

試合開始直後、1番「佐伯」、2番「越智」を連続三振。

ところが3番「森」の時に、サードがエラー。                                

 

そして4番「秋山」。

「平井」と1年生キャッチャーの「谷口」は

ことのほか慎重になっていた。

 

初球、126キロのスライダーで探りを入れボール。

2球目、137キロ、3球目、138キロのストレートで

コーナーを突くがボール。これでカウントノースリー。

そして4球目、

「平井」は137キロのストレートでストライクを取りに行った。

 

ところが・・・

「秋山」はこれを打ちに行き、打球はセンター前に弾き返された。

 

ノースリーから打ってくるとは・・・

 

しかしストレートが3球続き、いずれも137キロ。

単調な配球に「秋山」のバットはなんのためらいもなく始動した。

そしてここから、「平井」は「腕が振れなく」なっていった。

 

逆に「秋山」は尻上がりにリズムを掴んでいく。

 

2回を6球で三者凡退に切って取ると、

3回は1アウト2塁から2番「宮崎」を139キロストレートで三振。

3番「向岩」を空振り三振に仕留めた球は145キロを計測した。

さらに4回、先頭4番「平井」を119キロの変化球で空振り三振。

5番「猪野木」を143キロのストレートで見逃し三振。

 

「4者連続の三振ショー」を演じた秋山。

 流れは完全にこの男の右腕にあった。

 

ところが・・・

 

4回ウラ、「平井」は

この大会のハイライトとも言えるピッチングを披露することになる。

 

ヒットにエラーに死球など散々な内容でノーアウト満塁。

最悪の状況でここから西条のクリーンアップと対峙した。

 

そして先頭の「森」への初球。

 

「平井」は鋭い腕の振りから、

 この試合最も遅い108キロのカーブを投じた。

 

ボールにはなったが

前の打席ツーベースヒットの「森」には効果的だった。

 

リズムを崩された「森」は、結局セカンドフライに倒れた。

 

そして4番「秋山」。

カウント2-2からの5球目。「平井」は腕を思い切って振った。

 

地を這うような低めの軌道に「秋山」のスイングは始動。

ところがボールは鋭く曲がり落ち、バットは空を切った。

129キロのスライダー。

 

バッターのタイミングをはずすのは、

「球速の緩急」よりも「腕の振り」・・・

「平井」は原点に返り、息を吹き返した。

 

そして5番「司馬」も空振り三振。

 

ノーアウト満塁から3番、4番、5番を打ち取り

無失点で切り抜けた「平井」。

 

続く5回も2アウト満塁のピンチを迎えたが

2番「越智」を空振り三振で無失点。

 

1点もやれない場面で「平井」は見事に才能に磨きをかけた。

 

結局、帝京第五はこの試合コールドゲームで敗れたが

 

調子の悪いときこそ何をすべきか・・・

 

「平井」は敗戦のマウンドで進化した。

 

 

 

でもなぜ、腕が振れなくなるのか―

 

それは・・・またの機会に。

 

 

 

 

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夏の高校野球愛媛大会 準々決勝 坊っちゃんスタジアム

 

西  条 8-1 帝京第五

   (7回コールド)

 

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