輝きを増す「1人の地球人」
あたりが暗くなり始めたことに
スタンドの観客が気がつき始めたのは5回終了ごろだった。
坊っちゃんスタジアムの上空には
厚い雲の隙間から覗く太陽。
目を凝らしてしばらく見つめてみた。
意外に肉眼でもはっきり見える。
右上部付近が、クリンと欠けていた。
上空を何度も見上げる。
暗くなり始めたグラウンドを前にしていると
厚い雲に太陽が隠れてしまったのかと感じるのだが、
見上げれば太陽は雲間にある。
光量が激減しているのだ。
「太陽」と「月」と「地球」
3つの天体が織り成す宇宙の奇跡―
そんな最中、はるか上空で起きている歴史的宇宙現象など意にも介さず
地球上で「白球」を必死に追いかける球児たち。
そして太陽が次第に輝きを失っていく中、
次第に輝きを増していく「1人の地球人」にも注目が集まっていた。
投手 平井 諒。
帝京第五のエースだ。
日食の進行に合わせるかのように快投を続ける平井。
そして辺りが最も暗くなった午前11時過ぎ、投了。
この試合、ストレートは145キロを計測。
13奪三振で2試合連続完封。
去年のノーヒッターはやはりモノが違った。
打っては5打数5安打。まさに「ゾーン」突入だ。
歴史的な天体ショーの間、輝き続けた平井。
次はギラギラの灼熱の太陽と輝き比べだ。
期待は高まり、興味は尽きない。
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全国高校野球愛媛大会 2回戦 坊っちゃんスタジアム
帝京第五 4-0 北条
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皆既日食…っか部分日食
もちろん見ましたよ!次に日本で確認できるのは26年後…
その時の自分は
想像もつきませんね