高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2009年7月 7日(火)

「名将」、夏を前に語る「教育」

野球王国愛媛にとって、夏の高校野球は特別だ。

 

毎年、この時期になると

100年を超える歴史が現役選手たちを大いに煽る。

 

またそれを見届けてきた野球の神様や、

勝利の女神や、甲子園の魔物たちも

新たなシナリオ作りに忙しくなる。

 

1点リードの9回2アウト。

直後、試練の如くレフトスタンドに突き刺さる同点アーチ・・・

 

9回2アウトランナー無しから

1塁後方に上がったファウルフライを落球。

直後、ライト前、レフト前、そして逆転サヨナラアーチ・・・

 

夏は激しい季節だ。

 

特に若者たちには容赦ない。

しかしそれを乗り越えるがむしゃらな姿は、もっと激しく美しい。

 

ただ、高校野球も時代を映す鏡。

その舞台に登場する選手たちは毎年変わる。

最も変わるのが「選手の気質」だ。

 

いつの時代にも存在する「今どきの若者」。

そして真っ先に対峙するのが「監督」である。

 

土を噛むような練習では、

「自信」、「プライド」、そして「夢」さえも時には邪魔になる。

まさに裸の勝負を余儀なくされる。

 

そうした中、素顔の若者たちが

「規律」と「時間」と「白球」、そして「集団」のうねりの中で

どんな考え方に基づき、どんな動きを見せるか―

 

今、名将と呼ばれる監督たちが「悩んでいる」。

チーム作りの集大成であるはずの夏を前に・・・。

 

ある強豪校の監督に話を伺った。

 

球史に残る名勝負をいくつも経験してきただけに

「指導力」には定評のある監督だ。

しかし、話を伺っていくうちに、

その輝かしい戦歴は、「試行錯誤の歴史」だったことも想像に難くない。

 

監督は、深く息を吸い、大きく目を開き、

ゆっくりと語り始めた。

 

*********************************

 

スポーツを通じて、いかに「人間的に成長するか」。

スポーツをすることによって人間が出来るんだということではなしに、

スポーツをするために自分を変えて、「強く」なっていかないといけない。

 

そのためには、小さなことを大切に。

「礼に始まって、礼に終わる」という武道の世界ではないですけど。

野球部というのは「グラウンドが道場」だと思ってますので

道場に出たときには、「礼に始まって礼に終わり」、

「相手に対する思いやり」を持ち、

「感謝の気持ち」を感じるようになって欲しい。

 

そのためには小さなことであり、「返事」とか「挨拶」とか、

自分の部屋のロッカーの「掃除」とか・・・。

 

どこかの学校で教わったんですけど、

「ゴミをまたぐな」ということを徹底しているんですよ。

またぐということは、

そこにゴミが落ちていることを分かっているわけですから。

 

「掃除がきちんとできる子は、

送りバントがきちんとできる」ということですね。

 

なるほどな~ということで、教えを頂いてますので、

そういうことを選手に指導していくのが

やはり監督の役割ではないかなと。

 

勝敗も大切ですし、野球の技術も大切なんですが、

「1番目には人間形成」、「教育」ということを

自分に言い聞かせながら取り組んでいるところなんですけどね。

 

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ここまで一気に、しかも言葉を選びながら

かみ締めるように語ると、

監督はさらにこう続けた。

 

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「負けは、みんなで負けた」

「勝ちは、みんなで勝った」

 

そういうことを皆が思うようになってくれれば、

 

甲子園に行こうが、行くまいが、

この3年間グラウンドで指導してきた甲斐があると思うんですけどね。

 

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とっぷりと日が落ちたグラウンド。

かわって照明に灯が点る。

 

もう逃げも隠れもできない、

真っ向勝負を挑むしかない空気が張り詰め、

また「いつもの声」が拡声器によって漆黒の闇夜に響く・・・

 

 

また、ギラギラの夏が始まる。

 

 

s-上甲監督.jpg

 

 

 

 

 

 

コメント

あきら (2009年7月12日)

いよいよ高校球児たちの熱い夏がやってきますね!

甲子園での全国大会は、もちろん県大会も大変、気になります

さあ甲子園に行くのは?

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