「ああ 青春の優勝旗」よ永遠に ~水島新司さん安らかに~
突然の訃報は
まるで灼熱の甲子園に響き渡るサイレンのようでした。
漫画界の❝野球狂❞、水島新司さんが今月10日、
82歳で亡くなられました。
私は「ドカベン」で野球を学び、甲子園に憧れ、
自ら高校野球に青春を捧げた〝あの頃の野球少年たち"の一人です。
そして現実に直面し、涙を流し、それでもまだ野球に魅せられ続け、
今や息子にまで
「31巻は特にすごいんだ。土佐丸の犬神の腕が伸びて、
山田が死球を受けて、ブロックしたら犬神が吹っ飛んで、
殿馬が最後に長いバットを隠してたんだっ!」
(注:気にしないで先へ進んでください)
と「某カレーショップ」の本棚から手にした分厚い「31巻」を前に
畳みかける始末・・・。
そんな私は、おととしの暮れ、水島新司さんが「現役引退」を宣言された際、
思いの丈をこのブログに解き放っていました。
気持ち大先行の読むに堪えない駄文であること承知の上ではありますが、
最後にもう一度だけここに・・・_(._.)_
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【2020年12月30日
「さとるボールをもう1球」 水島新司さん引退に寄せて
2020年、全てが当たり前でなくなった年の暮れに
心からの感謝の思いをこめて―
* * *
「深紅の大優勝旗は、はりまや橋を渡るんだ」
「犬飼小次郎」が投じた渾身の一球を、
ついに捉えた「山田太郎」のフルスイング。
そして打球はピンポン玉のようにスタンドに運ばれると、
「岩鬼」が吠え、「里中」が涙し、「サチ子」が跳ね、
「じっちゃん」の背中が震えて...
ああ、野球という競技のなんとドラマチックなことよ。
仲間たちと、ライバルと、そして家族の絆。
そんな記憶を忘れずにいてくれた自分の脳にも感謝(^^)/
* * *
『ドカベン』
* * *
本当にありがとうございました。
幼い私に「野球」の素晴らしさを教えてくださって!
*
今月1日、野球漫画家の「水島新司さん」が
引退を発表されました。新潟市出身、81歳。
現役63年の鉄人が、ついにペンを置かれました。
本当にありがとうございました。
幼い私に「野球」の厳しさを教えてくださって!
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「白新の不知火」...
義眼を見抜いて里中にカーブを要求した山田の観察力と、
後に同じボールをスタンドインさせた不知火の執念。
3塁側スタンドから 「父さん」が
フェンスを飛び越え「でかしたぞ守!」のシーンは
今思い出しても震えますよね。
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「東海の雲竜」...
"豪打・真空切り"には度肝を抜かれましたが、
巨体に似合わずライトの守備も一流で
秘密兵器として自らマウンドに上がれば剛速球。
そんな豪快キャラも後に「サチ子」の前では
いじられキャラで好きだったな~。
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「横浜学院の土門」...
自分の球が凄すぎて受けられるキャッチャーがおらず、
全力を出せないという設定にまいりました。
そんな不遇にも愚痴をこぼすことなく、
歩いて歩いて、探して探して...そう、キャッチャーを。
そして「谷津吾郎」と出会い、「前略、土門さん」と
バッテリーを組むまでのくだりは心を鷲掴みにされました。
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他にも、ガウンの下でダンベルを握り続けていた
「甲府学院の賀間」や、記憶喪失の「代打山田」に対し
伝家の宝刀、"背負い投げ投法"を使わなかった
「クリーンハイスクールの影丸」に、
不動の腕組み、怪力「フォアマン」。
さらには「右か、左か、どっちだ・・・
そうだ、足を見ていればわかる!」
それでも山田を三振に仕留めた「赤城山の〝両手投げ″木下」と
2塁ベース上の岩鬼の視線を遮った「国定」。
そして「土佐丸の犬飼小次郎に武蔵、犬神」、
「いわき東の緒方」、「通天閣の坂田」、
とどめは「弁慶の義経と武蔵坊」・・・
ああ、輝いていた「甲子園」よ!
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実は水島新司さんには、幸せなことに
2度お目にかかる機会を授かりました。
1度目は、1999年夏の甲子園大会。
密着取材していた「宇和島東」の初戦の相手は
なんと、あの「新潟明訓」! そして試合当日!
ああ、なんということよ!
甲子園球場の正面入り口付近で偶然、水島さんを発見!
アポなしどころか急遽お願いして
インタビューを取らせていただきました!
甲子園大会の取材規制が非常に厳しくなった今では、
とても考えられない話ですよね。
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そして2度目が、2004年です。
そう、「四国にプロ野球球団」ができた時です!
* * *
その名も「四国アイアンドッグス」!
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もちろん雑誌「少年チャンピオン」の中のお話で、
「ドカベン スーパースターズ編」
としての連載ではありましたが、
それでも私は本当に球団が出来たかのように
心の底から嬉しくて嬉しくて・・・
結局、こうなったわけです(^^)/
(2004年 坊っちゃんスタジアムにて)
そして!
この対談収録のあと、こうなりまして・・・
あの日から16年―
山田、里中、岩鬼、殿馬という天才たちに
真っ向勝負を挑み続けた 「闘将!不知火守」の執念は、
私を幾度も勇気づけてくれました。
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そしてこの翌年、日本初の独立リーグ
「四国アイランドリーグ」が誕生したことも
偶然ではありませんよね。
* * *
水島さん、本当に有難うございました。
そして、本当にお疲れさまでした。
* * *
2020年、全てが当たり前でなくなった年の暮れに
心からの感謝の思いをこめて―
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最後に当時テレビ番組のオープニングを飾っていた
「がんばれドカベン」の歌詞をご紹介させてください。
作詞:水島新司 保富康午
とれないボールが あるものか
かまえたミットが うけとめる
ああ 青春のストライク
ズバーンといかした あいつだぜ
気はやさしくて 力もち
明るい笑顔が きょうもゆく
がんばれ がんばれ!ドカベン
山田太郎
うてないボールが あるものか
うなったバットが たたきだす
ああ 青春のホームラン
カキーンとしびれる あいつだぜ
友のためなら いのちがけ
誰にもいわずに 体あたり
がんばれ がんばれ!ドカベン
山田太郎
勝てない勝負が あるものか
だまってきたえた 手がにぎる
ああ 青春の優勝旗
スカーンとほれこむ あいつだぜ
人生いつも フェアプレイ
スポーツ精神 花と咲け
がんばれ がんばれ!ドカベン
山田太郎