高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2020年12月30日(水)

「さとるボールをもう1球」 水島新司さん引退に寄せて

2020年、全てが当たり前でなくなった年の暮れに

心からの感謝の思いをこめて―

       *   *   *

「深紅の大優勝旗は、はりまや橋を渡るんだ」

「犬飼小次郎」が投じた渾身の一球を、

ついに捉えた「山田太郎」のフルスイング。

そして打球はピンポン玉のようにスタンドに運ばれると、

「岩鬼」が吠え、「里中」が涙し、「サチ子」が跳ね、

「じっちゃん」の背中が震えて...

ああ、野球という競技のなんとドラマチックなことよ。

仲間たちと、ライバルと、そして家族の絆。

そんな記憶を忘れずにいてくれた自分の脳にも感謝(^^)/

     *       *      *

           『ドカベン』

     *       *      *

本当にありがとうございました。

幼い私に「野球」の素晴らしさを教えてくださって!

             *

今月1日、野球漫画家の「水島新司さん」が

引退を発表されました。新潟市出身、81歳。

現役63年の鉄人が、ついにペンを置かれました。

本当にありがとうございました。

幼い私に「野球」の厳しさを教えてくださって!

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「白新の不知火」...

義眼を見抜いて里中にカーブを要求した山田の観察力と、

後に同じボールをスタンドインさせた不知火の執念。

3塁側スタンドから 「父さん」が

フェンスを飛び越え「でかしたぞ守!」のシーンは

今思い出しても震えますよね。

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「東海の雲竜」...

"豪打・真空切り"には度肝を抜かれましたが、

巨体に似合わずライトの守備も一流で

秘密兵器として自らマウンドに上がれば剛速球。

そんな豪快キャラも後に「サチ子」の前では

いじられキャラで好きだったな~。

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「横浜学院の土門」...

自分の球が凄すぎて受けられるキャッチャーがおらず、

全力を出せないという設定にまいりました。

そんな不遇にも愚痴をこぼすことなく、

歩いて歩いて、探して探して...そう、キャッチャーを。

そして「谷津吾郎」と出会い、「前略、土門さん」と

バッテリーを組むまでのくだりは心を鷲掴みにされました。

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他にも、ガウンの下でダンベルを握り続けていた

「甲府学院の賀間」や、記憶喪失の「代打山田」に対し

伝家の宝刀、"背負い投げ投法"を使わなかった

「クリーンハイスクールの影丸」に、

不動の腕組み、怪力「フォアマン」。

さらには「右か、左か、どっちだ・・・

 そうだ、足を見ていればわかる!」

それでも山田を三振に仕留めた「赤城山の〝両手投げ″木下」と

2塁ベース上の岩鬼の視線を遮った「国定」。

そして「土佐丸の犬飼小次郎に武蔵、犬神」、

「いわき東の緒方」、「通天閣の坂田」、

とどめは「弁慶の義経と武蔵坊」・・・

ああ、輝いていた「甲子園」よ!

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実は水島新司さんには、幸せなことに

2度お目にかかる機会を授かりました。

1度目は、1999年夏の甲子園大会。

密着取材していた「宇和島東」の初戦の相手は

なんと、あの「新潟明訓」! そして試合当日!

ああ、なんということよ!

甲子園球場の正面入り口付近で偶然、水島さんを発見!

アポなしどころか急遽お願いして

インタビューを取らせていただきました!

甲子園大会の取材規制が非常に厳しくなった今では、

とても考えられない話ですよね。

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そして2度目が、2004年です。

そう、「四国にプロ野球球団」ができた時です!

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その名も「四国アイアンドッグス」!

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もちろん雑誌「少年チャンピオン」の中のお話で、

「ドカベン スーパースターズ編」

としての連載ではありましたが、

それでも私は本当に球団が出来たかのように

心の底から嬉しくて嬉しくて・・・

結局、こうなったわけです(^^)/

20201230_232948.jpg

(2004年 坊っちゃんスタジアムにて)

そして!

この対談収録のあと、こうなりまして・・・

20201230_233056.jpg

あの日から16年―

山田、里中、岩鬼、殿馬という天才たちに

真っ向勝負を挑み続けた 「闘将!不知火守」の執念は、

私を幾度も勇気づけてくれました。

     *     *     *

そしてこの翌年、日本初の独立リーグ

「四国アイランドリーグ」が誕生したことも

偶然ではありませんよね。

     *     *     *

水島さん、本当に有難うございました。

そして、本当にお疲れさまでした。

     *     *     *

2020年、全てが当たり前でなくなった年の暮れに

心からの感謝の思いをこめて―

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