高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2020年7月31日(金)

「ペスト」手に「激坂」思うコロナ禍で

今年4月から「ペスト」を読み始めました。

フランスのノーベル賞作家、「アルベール・カミュ」の代表作です。

世界的な大流行=パンデミックを何度も起こしている、致死率の高い「ペスト」の猛威に

さらされたアルジェリアの港町の人々の様子を詳細に描いた1947年発表の作品です。

70年以上前に書かれた作品とは思えません。「新型コロナ」と向き合う今の私たちを、

今、目の当たりにしているかのような、「不条理」にされされた人間の行動や心理の描写には

本当に驚かされます。

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ただ・・・・・・長い!さらに文章が難解!翻訳された文のリズムになれるまで

時間がかかります。そのため「5月25日」に緊急事態宣言が解除された時点で、

まだ栞のひもは本の3分の1あたりにぶら下がっていて、

その後の新型コロナに対する「緩み」で読書ペースも「緩み」、興味もやや薄れて、

ついには「ホークス3軍はなぜ成功したのか?」という別の本を読み始めてしまう始末...。

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しかし、今再び「ペスト」に復帰しました!もちろん「第2波」の予感からです。

作中、カミュは、ペストの猛威にさらされた人々が極限状態の中で、恐怖やパニックの先に

、放火や略奪を起こす様子を淡々と描写。その上で、感情の回路を切断することで

心の平穏を維持しようとする人間の心理に迫り、「死への慣れ」へと続きます。

家族や親しい人との悲しい別れも、それが続けば次第に感情が追いつかなくなり、

さらに連日街に流れるおびただしい数の死者を前に、いつしか記憶も想像力も失っていく。

そんな恐ろしい光景が時々刻々と描写されています。 ふぅ・・・

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さて2020年。連日、着実に伸びていく感染者数の棒グラフ。

一度下がって、また上り始めて・・・。

私にはまるで、自転車の「ヒルクライムレース」の勾配断面図のように見え、

最近の画面右端のグラフの伸びは、まさに「ツール・ド・フランス」や

「ブエルタ・デ・エスパーニャ」の山岳ステージに出てくる勾配20パーセント越えの

❝激坂❞のようです。コロナによる社会の疲弊具合は、選手が必死にもがく姿と

オーバーラップして見えるのです。

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そうは言っても、人類の歴史は未知のウイルスとの闘いの歴史。乗り越えてきた歴史に学び、

たくましく❝withコロナ時代❞の生き方を探っていきたいものです。

そこで次回は、コロナ禍での「サイクリング」を考えます。

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(しまなみ海道 サンライズ糸山サイクリングターミナル)

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