「全進」に中断なし 愛媛FC開幕、そして―
スタジアムはとてもいい天気だった。
真っ青な空と、そこかしこで目に映るオレンジ色とのコントラストは
すごく鮮やかで、気持ちまでシャキッとする感じがした。
J2が開幕し、愛媛FCはホームで開幕戦を迎えた。
試合開始の1時間も前になると、
ニンジニアスタジアム前の広場はサポーターで賑わい、
紅白の垂れ幕のステージからは、白星ならぬ白い餅が青空に舞った。

ただ、その餅の落下点にいたサポーターたちに
笑顔の輪が広がっていたかは不明だ。
顔の下半分は「マスク」だったから・・・

それでもサポータークラブ「ラランジャトルシーダ」の松本代表は言う。
「マスクはしてますが、みんな元気なので、
一緒に頑張りましょうと会話したところなんですよ」と明るい表情。
「必ず今いる選手たちは、やってくれると信じてます」
新体制がスタートしてから開幕日までの間は、
選手たちのトレーニングを見ながらシーズンへの期待を膨らませる一方で、
移籍や退団した選手たちの存在の大きさを噛み締める時間でもある。
こんなにも期待と不安が交錯する時はない。
それでもゴール裏に入れば、もう迷いはなくなる。

ピッチに広がった巨大ユニフォームや
バックスタンドに広がった「アオアシ」小林有吾先生の巨大フラッグが
心の底で眠っていた闘争本能を呼び覚ましてくれる。

ああ、また今年も始まる―
愛媛はJ2、15年目。
シーズン開幕の晴れがましい雰囲気はすでに14回経験している。
ただそれが、決して当たり前ではないこともみんな感じている。
「2011年」のことも、もちろん心に刻まれている。

そして、「サッカーの力」を、「スポーツの力」を信じ
困難に向き合う心構えを、選手もサポーターも知っている。
新型コロナウイルス感染対策で、約20日間リーグ戦が中断された。
選手、監督もチームも地域とともにあり、
新たな敵に向き合い始めている。
ただ選手の表情は明るく、そこに迷いは感じられない。

「全進」は、全員で前に進むこと―
それは中断しない。