千住博展
「改元」という歴史的な節目に晴れがましさを覚えたり、
特別変わらぬ日常に、こんなものかと足元を見つめたり。
朝日が昇り、夕日が沈む。
月が満ちて、欠けていく。
「ふつう」が落ち葉のように降り積もっていく。
そんな心模様で訪れた愛媛県美術館
「千住博展」
白い水が上から下へ流れている。
流れによって、空気を感じる。
水面にぶつかり無数の飛沫が舞う。
視界いっぱいに広がり、やがて轟音がとどろき始める。
朝の滝。
夜になり、月がでる。
闇の中に浮かびあがる滝は、青白くまぶしい。
水は変わらず上から下へ。
空気をまとい、飛沫が舞い上がり、轟音が響きわたる。
難しいことを、分かりやすく。
これは人にやさしい。
ただ・・・
一見、分かりやすいことの向こうににじむ
複雑な事情や情念。
なぜか人は、これに惹かれる。
目の前に広がる青白い滝。
ただただ轟々と流れ落ちている。
「千住博展」 愛媛県美術館
2020年1月19日まで開催