高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2018年7月 3日(火)

ロストフの悲劇 

その目はしっかりと前を向いていました。

その表情はむしろ晴れがましくもありました。

3回目の大いなる挑戦が終わっても、

堂々と胸を張る小さな巨人が、

うなだれる仲間を背に、強烈な輝きを放っていました。

 

長友佑都選手、31歳。

 

サッカーワールドカップロシア大会

決勝トーナメント1回戦

日本はベルギーに逆転負けを喫し、

長友選手の3度目のワールドカップが幕を降ろしました。

 

ラストシーン。

 

本田のコーナーキックを

ベルギーのGKクルトワがキャッチすると

デフライネのカウンターアタックからフリーのムニエ、

そしてクロスをエースのルカクがスルーし、

最後はシャドリの左足・・・

 

この間わずか9秒あまり。

電光石火の超絶カウンター攻撃の前に、

日本、初の8強入りの夢は潰えました。

 

目安4分間の後半アディショナルタイム、

時計表示は「48分47秒」。

あと13秒やり過ごせば、15分ハーフの延長戦。

再び勝機を拾うチャンスが訪れた・・・かも。

 

 

この試合「長友選手」は攻守に躍動しました。

 

前半21分にベルギーのエース「ルカク」のシュートに

足を伸ばせば、

 

前半31分には、「香川」のヒールキックを受けると

素早く正確なクロスで「乾」のヘディングシュートを演出。

 

さらに前半42分、ベルギー「ムニエ」のクロスを

頭でクリアすれば、

前半44分、エリア左サイドから放った渾身のシュートが

大迫に当たってコースが変わり名手クルトワがキャッチミス。

あわや先制ゴールというシーンに、

ベルギーも一瞬凍りついたに違いありません。

 

後半も1点差に詰め寄られた直後の後半27分、

オーバーラップを仕掛けてムードを変えれば、

1分後のデフルイネのシュートを渾身のブロック。

 

長友選手の90分に渡る献身的なランには

3大会連続出場を果たした

世界を知るサッカー人としてのプライドと

日本人としての自覚に満ち溢れていました。

 

優勝候補を相手に、2点目が入った瞬間

日本人としての誇りを覚え、

 

同点に追いつかれた瞬間

サッカーの怖さを思い知らされ、

 

3点目を決められた瞬間

世界の広さをあらためて教えられたベルギー戦。

 

 

2018年7月3日、

日本が目の当たりにした「ロストフの悲劇」

 

 

この濃密な90分が

4年後の希望の始まりになることを信じたいと思います。

 

 

 

サッカーワールドカップロシア大会

決勝トーナメント1回戦

日本2-3ベルギー

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