衣笠祥雄・・・鉄人のフルスイング
青葉、若葉の季節に...「鯉の季節」!
鯉と言えば「広島カープ」ですね。
かつては「開幕からの勢いも、鯉のぼりが泳ぐ頃になると
なぜか失速する...」という意味で使われていましたが、
時代は変わりましたね!
カープは今、鯉の季節をステップに一段と勢いが増し、
マツダスタジアムはもう連日真っ赤っかです!
そんな鯉の季節に届いた悲しみの一報...衣笠祥雄さんです。
現役時代の「フルスイング」に魅了された
カープファンのみならず、日本中の野球ファンが、
突然の訃報に言葉を失い、悲しみに暮れました。
そんな折、私は出張で広島を訪れた際、
「旧広島市民球場跡地」に立ち寄りました。
かつてのスタジアムはほぼ跡形もなく、
今ではイベント広場として利用されていますが、
その広大な敷地の一角にある「勝鯉の森」―
そこには、衣笠さんが1987年に樹立した
連続2131試合出場の世界新記録を記念した石碑があり、
最終記録「2215試合」も刻まれています。
この日も訃報に触れたファンが次々に訪れ、
カープの黄金期を支えた「鉄人」に思いを寄せ、
花を手向け、その死を悼んでいました。
その夜、市内八丁堀のバーでお酒を頂いていると、
初老のマスターが、かつてチーム関係者から聞いたという話を聞かせてくれました。
「衣笠さんは、フルスイングが代名詞になっていましたが、
自分自身では『バッティングに力はいらない』ということは
分かっていたようですね。
でもバッターボックスに入ると、
どうしてもフルスイングしてしまうんだそうです」
強烈な個性がひしめき合い、
そこから生まれる人間ドラマとエネルギーを
あすへの活力に昇華させていた高度成長期の日本。
たかが野球、されど野球―。
その魅力に取りつかれ、
生涯バットを力一杯握り続けた永遠の野球少年の姿は、
いつまでも私たちの記憶に刻まれています。
(広島市中区 勝鯉の森 4月撮影)