高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2016年01月30日(土)

「原川が笑い、リオは踊る」

原川が笑った―

「稲垣潤一」は笑わない

でも原川は笑った 嬉しそうに。

 

後半アディショナルタイム、

利き足ではない左足から放った弾丸ミドル。

 

―いい所にいましたね

 

いやいや、いつもそこで待っていた。

左サイドをえぐっては行き詰まった者たちの駆け込み寺のように、

パスを受けては柳のように受け止め、

何事もなかったように再びボールを返す。

 

にわかに人の感情を震わせるような動きではない。

むしろプレーがゆっくり見える。

速いのはサーチライトのように周囲を確認する「首」だけだ。

いや、もうひとつあるが、それは後で・・・

 

とにかくポジショニングが良い。良すぎる。

読みがいい。

プレーする時間とスペースを自分で作れるのだ。

 

この試合原川は、90分間お百度参りのように

ペナルティエリア神社に通い続けた。

そしてついに勝利への扉が開き、

原川は聖なる左足をフルスイングした。

 

ボールはゴールネットに突き刺さり

ドーハは歓喜に包まれ

リオデジャネイロの空へ、原川の「言葉」は舞い上がった。

 

************************

―オリンピック決めてくれて、有難うございます

「僕もとりあえず ホッとしています」

 

―決まった瞬間の気持ち、覚えますか

「ひとつの目標でしたし、とても嬉しいです」

 

―きょうは先制をして、その後追いつかれて、どんな90分でしたか

「やっぱ苦しい時間の方が多かったですけど、

みんなで耐えられたことが勝利の要因かなと思います」

 

―最後試合が終わるまで、原川選手、

            どんなことを考えながらプレーしてましたか

「勝つことしか考えてないですし、それが実現できて

チームとしてより成長したかなと思います」

 

―ゴールのあの流れのシーン、少し振り返ってください。

  思い出せますか

「あまり覚えてないですけど、いい所にこぼれてきたので

吹かさないように、抑えてシュート打って、

枠に入ってよかったです」

 

―色々な思いを各年代でしてきて、

  イラクという相手に勝ってオリンピックを決めた。どんな思いですか

「僕自身もイラクに勝ったの初めてなので、

こういう舞台で勝てて、非常に嬉しいです」

 

―試合が終わってチームみんなが集まった時はどうだったのでしょう。

「上、乗られてきつかったですけど(笑) 嬉しかったです」

 

―これでオリンピック決めました。もう1試合ありますね

「やっぱり1位でオリンピック行くことが大事ですし

6勝して、オリンピック行きたいです」

 

―それにしてもこのチームの強さ、どこにありますか

「まとまりが一番いいと思うので、いい風がこのチームに吹いていると思います」

 

―そのままの勢いで、楽しみにしてます

「ありがとうございます」

********************

 

はやい! とにかく速い。

これだけ聞いて、話して 「1分17秒」

このテンポは世界でもトップクラスだろう。

 

質問が終わるや否や、「即答」

質問から答えるまでの間は1秒もない。

まさに「言葉のワンタッチパス」だ。

 

劇的なゴールを決めた直後とは思えないほど

興奮をコントロールする原川。

 

それにしてもU23の番記者たちは迷っているように思う。

この年代の主役は本当は誰なのか。

遠藤なのか、武蔵なのか―

 

「原川力」がいるではないか。

 

しかし「五輪Vゴール」を決めても、

どこか手放しで持ち上げようとしてない多くのメディア。

 

中田英寿のようにクールに見えて取材しづらそうだからか?

トークが速すぎて聞き取れないからか?

知識を逆に問われているようだからか?

 

安心してください。待ってますよ!

 

「J初ゴール」を決めて照れながらも嬉しそうだった「愛媛FC時代」。

あれから1年あまり、ようやく出たプロ2得点目が、

なんと「リオ五輪へのVゴール」。

 

「勝てない世代」の逆襲が、「原川力」のゴールで始まった―

 

◆リオデジャネイロオリンピック アジア最終予選準決勝

   U23日本代表2-1イラク

 

2016年01月25日(月)

「砂浜特訓」 

「がんばったら いいことあるよ!」

「家族のために頑張ろっ!」

「あるよ、これ試合であるよ~!」

 

木山隆之監督になって2年目の「砂浜特訓」。

今年は梅津寺海岸で初開催されました。

 

鹿児島キャンプがなくなった1年前、

いったいどうなることやらとの周囲の心配をよそに

粛々と、近くの砂浜を走り、坂道を駆け上がり、

まさに「地産地消」のメニューで選手を鍛えていった木山監督。

その答えが「J2、5位」、「プレーオフ進出」と、言わば

「キャンプに行きゃ~いいってもんでもない」ということを体現しました。

 

そんな縁起のいい?メニューでは

今回も、津川フィジカルコーチの号令のもと、

選手たちは8つのメニューに真剣アタック。

 

やわらかい砂に足を取られながらも

体幹を意識した俊敏な動きで

オフトレの充実ぶりを披露していました。

 

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特に砂浜歴2年目の「瀬沼」選手が、声でムードを上げれば、

実は初体験の「内田」選手も常に試合を意識することの大切さを体現、

新加入の「深谷友基」選手も、サッカー人生初体験という砂浜特訓に

目の色を変えて取り組んでいました。

 

それにしてもこの時期、砂の上であれだけ動けるということは

マイペースとはいえ、オフも休みなく動き続けていた証。

やはり、例年より1週間早い、2月末開幕は

選手のモチベーションをあげていると思われました。

 

そしてきのうの「キックオフフェスタ」では、こちらも発表されました。

キャプテン西田、副キャプテン河原、児玉、林堂、小島。

個人的意見としては、特に林堂さん!

なにか今年はさらに輝いてくれそうで楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年01月25日(月)

「1分20秒」のラスト1プレー

 

「ブオオーン」

 

ラスト1プレーを告げるフォーンが鳴り響いた。

 

 

東京、秩父宮ラグビー場。

ラグビートップリーグ優勝決定戦

赤の「東芝」vs青の「パナソニック」

 

 

後半40分 パナソニック27―21東芝

得点差は6点。

1トライ1ゴールは7点。

そしてボールは、追いかける「赤」の手元にあった。

 

 

自陣10メートルライン少し内側。

ゴールラインまで、残り63メートル。

 

 

そしてスクラムが組まれ、

「赤」の「21番」、スクラムハーフの両手から楕円のボールが放たれた。

 

全てはスローモーションのように、

 

「左へ」1人飛ばし、次も1人飛ばし、そして「13番」に渡った。

 

―さあ勝負

 

1本目の青い矢をかわし、

2本目の青く低い矢もかわすと、

歓声は、明確な「意志」を持った音の塊に変わり背中を押した。

 

そして3本目の青い矢が突き刺さったが、

すでにボールは空中を舞い、

トップギアの「15番」へ。

 

 

―行ったか

 

 

しかし残り10メートル、「青」につかまる。

それでも雪崩のように襲い掛かる「赤」

そして渾身のロングパスが右へ。

 

「21番」から「13番」、

そしてポスト正面「14番」が最後に信じたプレーは

 

 

「キックパス」

 

 

ゴールライン手前でワンバウンド・・・

 

次ぎの瞬間、「楕円」のボールは意志をもったように

 

少しだけ左に跳ね上がった―

 

ボールの目の前にいた青の「2番」は振られ

 

最後は「赤」の23番がインゴールに抑えた。

 

 

トライ

 

 

「2万4557人」の秩父宮が揺れた―

 

 

フォーンが鳴って、「1分20秒」が過ぎていた。

 

 

 

結局、「赤」の直後のキックはゴールポストをそれ、

試合は「青」が「27-26」で「赤」を破り優勝を決めた。

 

〇パナソニック27-26東芝●

 

 

しかしその勝敗以上に

2015-16シーズンという日本のラグビー史に残る

歴史的な1年を締めくくるにふさわしいファイトは、

 

勝敗を越えて、

ファンと選手が「2019年」へ

共に歩む「決意」と「覚悟」を固めた一戦となったに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

2016年01月21日(木)

始まりは 「碧い空」

 

2016シーズンに向けた、愛媛FCの新体制始動の取材。

松山市梅津寺のグラウンドに着いて驚いた。

 

なんか、いっぱいいるぞ・・・サポーターが。

 

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かつて四国リーグ時代、旧重信町の「NTTグランド」で―

さらには高知国体で―

そして初代サンパークのグラウンドで―

土の上で高く高く跳ね上がるボールを追いかけていた時代から

愛媛FCを取材してきたが・・・

ざっと数えて「120人」

「練習初日」にこの雰囲気は初めてだ。

 

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こんなボードや・・・

 

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こんなフラッグも。

 

新加入選手もさぞ、気持ちよく初日を迎えられたことだろう。

 

そして空はどこまでも碧い―

 

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いいシーズンになりそうだ。

 

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新加入4選手のうちの一人、深谷友基選手。

大分、大宮でJ1生活9年。207試合出場。

その後、FC岐阜で2年やって愛媛に完全移籍。

 

新たな出会いの瞬間―  

「旅人」の歩みをねぎらい、力強く送り出したい

 

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別メニューだった河原選手。

笑顔でサポーターの心配を吹き飛ばす。

 

そして1秒ほどの握手。

湧きあがる勇気に、ともに戦う決意を固める。

 

「全力前進」の第2ラウンド。

勝負の1年の始まりに、これ以上の1日はない。

 

2016年01月15日(金)

「ギンギラギンにさりげなく」

 

一瞬、耳を疑った

 

愛媛FCの2016シーズン「新体制発表会見」

過去最高の5位につけ、チーム史上初のプレーオフ進出と

充実の1年を演出した「木山隆之監督」。

その手腕にさらに期待が高まる就任2年目の意気込みを問われ、

指揮官はいつも通り、一言一言、確認しながら慎重に話し始めた。

 

言葉の力―  

選手にかけるわずかな一言が、大きな勇気になり、

会見で放つ一言が、時に地域を動かす原動力になる。

 

その指揮官が、突然口にした

「ギンギラギンにさりげなく」

近藤真彦の代表曲である。

そう、去年大晦日の「紅白歌合戦」で、白組のトリを務めたのがこれである。

しかし、なぜ木山監督は・・・

 

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アラフォー世代にとって「マッチ」は青春時代の男性アイドル筆頭であり

その代表曲が「ギンギラギンにさりげなく」だ。

♬「そいつが俺のやりかた~」 みんな歌った。意味など考えずに。

木山監督も当時は、そのタイトルの意味が分からなかったと打ち明ける。

 

しかし2015年の「土壇場」、12月31日の午後11時半過ぎ

木山監督の脳裏に浮かんだこと―

 

「ギンギラギンにさりげなく」 は悪くないな

 

相反することが、物事として成立することもある。

充実のシーズンの後の就任2年目。当然、プレッシャーは大きい。

その中でも、しっかりとした目標設定は大事である。

 

しかし―

 「J1昇格」 という言葉に宿る甘美な響きと、

 「地道にコツコツ」という背伸びなしの堅実な姿勢。

 

相反する2つの言葉の狭間で、

今の愛媛FCを 「全力」で「前進」させるために必要な言葉はどっちなのか。

 

その答えが、「ギンギラギンに さりげなく」だったのである。

そして、 「そいつが木山監督のやり方」なのである。

 

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「無欲」のプレーオフ進出と

「狙ってつかむ」プレーオフ進出。

越えるべきハードルは低くはない。それでも―

 

「プレッシャーがあった方が、楽しいですよ」 

 

笑みを浮かべる指揮官。

開幕が、今から待ち遠しい。

 

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(新加入選手4人とポーズをとる 木山隆之監督)

 

 

 

2016年01月14日(木)

「7連覇」と「秩父宮の青空」

あけまして おめでとう ございます。

 

先日、東京の秩父宮ラグビー場に

「ラグビー全国大学選手権」の決勝戦を見にいきました。

 

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「世界中の青空を集めたような・・・」

実況中継の常套句、でもその通りでした。

 

帝京大学 対 東海大学

まさに、紅組 対 青組

 

紅組が目立つのは、いつの時代も一緒。

さらに「7連覇」がかかっているとなれば

バックスタンドも御覧の通りです。

 

 

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スタンドの向こうには、神宮外苑の銀杏並木。

全てを脱ぎ捨ててまっすぐに伸びる木々の姿は

ラグビーハイシーズン到来を告げています。

  

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そして決勝戦にしては「控え目」なホイッスルが鳴り響き、

80分後、帝京大は「7連覇」を達成しました。

 

でも、試合は序盤から「青組」」ペースでした。

ボールは「帝京」、タックルは「東海」。

赤がもって大歓声、青のタックルでため息と悲鳴・・・

これが30分続きました。

 

まだ、0対0 

 

次第に青組の背中を押し始める 「秩父宮の青空」。

 

そして均衡を破ったのは「東海」でした。

前半31分、ラインアウトからモールを押し込み

フランカーの選手が先制の「トライ」。

秩父宮がどよめきと歓声に包まれます。

 

なにかが起きる―

 

「予感」は醍醐味、

「場の空気」こそ「確信」の構成元素。

 

「絶対王者」と5対5の同点で前半を折り返すころには

「東海」の可能性を「歴史」から裏付けようと

ファンの指先は手元のモバイルギアを叩き始めていました。

 

後半「帝京」は、本来のラグビーを取り戻しました。

速いテンポでボールを操り、流れを変えました。

 

結果は、帝京大 27-17 東海大

 

そして試合が終わり、「7連覇」の文字が独り歩きし

翌日の見出しを飾りました。

 

しかし「7連覇」を称える心の震源は

「秩父宮の空気」を変えた東海大の「30分間」に凝縮されています。

 

 

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「いい決勝戦だったね」

 

銀座線「外苑前駅」に向かう人波の中、

聞こえてくる賞賛のつぶやき。

視線を上げれば、

そこには 冬の西日に揺れる 「赤い小旗」が

 

 

 

 

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