オレンジの風
空がきれいだな~と思った。
もう秋だ。
2月にチームがスタートして8ヶ月。
愛媛マンダリンパイレーツは「後期優勝」
星野おさむ監督は
もっともっと高くと囃し立てる澄み切った青空に美しく舞った。
愛媛銀行グラウンドがいつもと違う場所に見える。
なぜなら、みんな「笑顔」
いつもは選手と監督コーチだけ。
正確には「総監督」と呼ばれる常連さんと熱心な女性ファンもいるが
吹き抜ける風は熱くてきつい。
「やれって言ったらやれっ!」
「なにしに来てんだここに!」
「お前の引退試合、いつにする?知り合いを呼んどけ!」
危機感と、憎悪と、開き直りと決断と・・・
そんなものが「そこ」にはいつも渦巻いていた。
薄い氷の上を渡りきるには
足元が割れる前に次ぎの一歩を踏み出すしかない。
ぼんやりした夢を、とろんとした目で眺めていると「パリン」といく。
練習は裏切らない。
そんな甘いものではない。
だからもっとやる。
でも結果なんか出ない。
結果を出せるチャンスがあるならまだいい。
それすら掴めない選手もいる。
でも止まると「パリン」
そうやって、来る日も来る日も・・・
好きだなあ、みんな野球が。
9月25日、高知球場で行われた愛媛の後期最終戦。
愛媛が10対2で高知に大勝した。
選手ひとりひとりが「役割」を果たした充実の一戦だった。
その試合後―
ロッカールーム前の通路には、両軍選手達の笑顔が。
1年間、「敵」とはいえ、見ず知らずの四国にやってきて
夢を追いかけ切磋琢磨した、かけがえのない「仲間」。
互いの健闘を称えあう姿は心に染みる。
シーズンが終われば、それぞれの道が待っている。
「一生の別れ」
大げさかもしれないが、事実かもしれない。
四国アイランドリーグプラスにいる約100人の若者たち。
そんななか、もう少しだけ
同じメンバーで野球ができるという勲章を掴んだ
「愛媛」と「香川」の選手達。
肉体と頭脳と策略と心と。
さあ、どっちがどれだけ野球好きか―
日本初の独立リーグ、8回目の王者決定戦。
碧く高い秋の空に、まもなく「オレンジの風」が吹き荒れる。
チャンピオンシップ 愛媛MPvs香川OG
9月29日(土)マドンナスタジアム 午後1時開始。