武道必修化前夜・・・
「礼」の正しいやり方を知っていますか。
立った状態での「礼」は...
まず、かかとをつけてつま先を45度開き、両手の平は体側に。
続いて両手をももの上に乗せ、
そのまま膝頭の上、握りこぶし1つ分の所まで自然に下げる。
それが上体を約30度曲げた形となる。
この間1秒。
そして2秒静止。
さらに1秒で元の姿勢に戻る。
合計4秒で礼を終える。
では座った姿勢での「礼」は...
その前に、立った姿勢から、
まず左足を引き、片膝を立て、続いて右足を引いて膝を立て、
立て爪からひら爪に切り換えて
つま先親指を重ね、最後にでん部を静かに乗せる。
両膝は握りこぶし2つ分。女性はその限りでない。
そして両手をももの付け根の位置に置く。
ここからまず、両膝の前方に
左手、右手の順に、両手をおにぎりの形を作るように置き、
頭を肩と同じ高さに、または床から30センチの高さになるまで下げる。
(・・・と記憶をたよりに書いたので不備ある場合はすいません)
そんな話から始まったのが
先日、県が愛媛県武道館で開いた
「武道、ダンス指導研修会」の中の柔道の実技講習でした。
講師は、濱田初幸さん。
そう、愛光の生徒達を鍛え、松山大学柔道部を鍛え
現在は鹿児島の鹿屋体育大学で国内トップレベルの学生を指導...
というよりも全国的には、ヤワラちゃんら全日本の軽量級のコーチで
そして自身も1979年キューバ国際で優勝するなど国際大会でも
数多くの入賞を果たした柔道家だ。
この日は県内の保健体育教員を対象にした講習会。
そう、来年度から始まる「中学校武道必修化」を前にした
指導者講習会である。
来年春から中学生たちを指導する先生たち40人が参加していた。
濱田さんの話は、柔道の歴史を紐解く所から始まった。
日本がオリンピックに初参加した1912年第5回ストックホルム大会で
団長を務めていたのが、あの嘉納治五郎氏だったとか、
国際柔道連盟に加盟している国や地域の数は200で、
これは国連加盟の193より多いこととか・・・。
最も興味を引いたのがフランスの話。
フランスの柔道人口は現在60万人で日本よりも多いのだが、
日本の方が実力的に上なのは、指導者の力の差だと濱田さんは言う。
ただ柔道を取り巻く環境は大きく違い、
最も驚いたのは、フランスの柔道指導者は全員プロだということ。
ビジネスとして成立していて、柔道の指導者として
生計を立てていけるそうだ。
つまり国家資格を持つ人だけが指導者になれ、
免許を持たないで指導すると「逮捕」される。
1955年から実施されている国を挙げての制度らしい。
だから指導者たちはものすごく勉強熱心という。
こうした制度のもとでの指導ゆえに
フランスでは柔道の練習、試合中などの「死亡事故」は
皆無といわれているのも納得できる気がする。
国際性に優れ、日本が発祥の「柔道」。
「礼」に始まり、「礼」に終わる。
そんな競技を日本の誇りとして温め続けていくためにも
大きなチャンスとなる来年春の「中学校武道必修化」。
授業現場の安全対策は大丈夫か―。
目の前で、寝技の稽古に励む先生たちに全てはかかっている。