高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2010年03月10日(水)

2つ足りない金メダル

金メダルが「2つ足りない」と思った。

 

バンクーバーオリンピック女子フィギュアスケート。

「世紀の女の戦い」は世界中の注目を集め

韓国のキム・ヨナが金メダルを獲得した。

 

浅田真央。

ショートプログラムで1回、

フリーで2回、

合計3度に渡ってトリプルアクセル=3回転半を成功させた。

女子では世界初の快挙だ。

 

でも「銀メダル」に泣いた。

 

 

 s-フィギュア.jpg

 

 

一方「吠えた」のが、ロシアのエフゲニー・プルシェンコ。

前回、トリノ大会金メダリストは競技前の会見で

「スケート界の未来のために4回転にこだわる」とピシャリ。

本番でもその言葉どおりの演技内容を遂行した。

 

でも、結果は「銀メダル」。

「4回転を跳ばない人が金メダルなんて」

プルシェンコは嘆いた。

 

「金メダル」のためには「回転数」か「ステップ」か。

 

正確にはどちらが多く得点を積み重ねることができるか。

今回のバンクーバーでは後者だったのだろう。

「相当なエネルギーを費やし大技に挑戦して失敗するより、

回転数を減らしてでも確実に演技した方が

得点を積み重ねられる」ということだ。

 

競技のレギュレーション、ルールを知り、

その中で最大限の勝負をする。

これは普通。

 

しかしスポーツ、特にオリンピックの歴史では

自国に都合のいいようにルールそのものを変えてしまうことは

そう珍しいことでもない。

 

特に人間のジャッジが結果のかなりの部分を左右する競技では

そこの部分は常に議論されているテーマだろう。

荻原健二が活躍しすぎるあまり、

ヨーロッパ勢の圧力でジャンプの「得点配分」を減らしてしまった

ノルディック複合なども記憶に新しい。

 

ただ今回のフィギュアスケートを見ていると

人間の能力の限界に挑むかのような3回点半や4回転の凄さと

ステップや表現力などの要素は

どちらも「単一種目」として十分な魅力を持っていて

1回の演技に両方が組み込まれている現在の演技構成は

なんと贅沢極まりないものかと思う。

 

「ショートプログラム」と「フリー」

それぞれに金メダルを用意してはダメなのか―

 

「ショート」は「スケーティングの正確性」に重点を置く。

究極の精密さを追求する。

 

「フリー」はその名の如く、自由な発想で

フィギュアスケートそのものの可能性を追求することに重点を置く。

制限時間内にどんどんアクロバティックな大技や

パフォーマンスを繰り広げ、ジャッジはもちろん、観客を唸らせる。

そして個人が獲得した得点の、上5つの合計で競うのである。

 

例はいくらでもある。

 

「ジャンプ」と「距離」は別々の競技としてメダル争いをしている。

そしてその上で「ジャンプ」と「距離」の両方で争うのが

「ノルディック複合」だ。

その肉体的な器用さ強靭さ双方を併せ持つことの凄さ。

「キングオブスキー」と称される所以だ。

 

夏のオリンピックでも

陸上では個々の種目があり、また7種競技のような複合型もあって

それぞれにメダルが用意されている。

 

つまり今回のキムヨナ、浅田真央の戦いは

まさに「フィギュア複合」=「キングオブスケート」を決める戦いとして

間違いはない。

 

ただもし「ショート」と「フリー」の2種目にメダルが用意されていたら

2人の類稀なる能力はそれぞれ「金メダル」として評価を受け、

日本国民は

 テレビに何度も映し出される

  「満面の笑みの真央ちゃん」に元気をもらい、

       日本経済も上向いていたかもしれない!

 

 

(次回は、あの「コクボくん」を見ていて浮かんだ

 「スノーボード新種目」です)

アナウンサールームトップに戻る

プロフィール

最近の記事

月別アーカイブ

2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年