高橋浩由の「スポーツ素敵に隠し味」

2009年4月27日(月)

聖地の条件

s-マツダスタジアム2.jpg

 

新広島市民球場。

マツダ ズーム・ズームスタジアム広島。

略称「マツダスタジアム」

初めて行った。

 

面白いスタジアムだ。

メジャーのスタジアムをイメージして

内野が天然芝で、スタンドの勾配も緩やかで、

ファウルグラウンドが狭くて選手が間近に見られて・・・。

 

そしてご存知のとおり

熱烈なファン向けの「パフォーマンスシート」をはじめ、

「ボックスフロア」に「パーティフロア」

「ブルペンレストラン」に「のぞきチューブ」などなど。

名前だけでもワクワクする。

 

さらに特徴的なのが左右非対称の造り。

レフトスタンドの中央付近がぽっかり空いているのだが

なんでだろう~とぼんやり眺めていると

突然「シューッ」と視界に飛び込んできたのは「新幹線」。

 

これはレフト後方が

「山陽本線」「山陽新幹線」の軌道になっているためだが

マツダスタジアムでは

その設計上の制約を逆手に取っているのがまた憎い。

なんとJRの乗客も球場の観客と見たてて、

車窓から試合をチェックできるということだ。

 

 

s-マツダスタジアム.jpg 

 

この独特の球場設計を担当したのは

「環境デザイン研究所」。

 

ここは、あの北島康介も何度も泳ぎ、日本選手権の会場としても有名な

「東京辰巳国際水泳場」などを設計している。

実は私もここによく通っていたのだが、

外から見ても中に入ってもなかなか楽しい場所である。

 

この日は、広島―阪神3連戦の初日。

結局私は、カープの試合前練習中だけの滞在で非常に残念だったが

RCC中国放送のスーパー実況アナウンサー「一柳さん」が

実況担当日にも関わらずアテンドをしてくださった。

深く感謝。

 

で、スタジアムに話を戻すが

あらためて驚くのは・・・

 

「マツダスタジアムの建設費は、坊っちゃんスタジアムより安い!」

 

・・・という事実。

 

坊っちゃんスタジアム 118億円

マツダスタジアム

本体建設費 90億円+22億円

     →ロッカー、スポーツバー、球団事務所等

 

カープファンでぎっしり埋まるスタンド。

ビッグなスコアボードなど、

完全プロ使用のこのスタジアムが

なぜ・・・坊っちゃんスタジアムより安いのか。

 

それはスタジアム内のプレスルームに向かう道中に一部判明した。

 

「これで完成・・・なんですよね」

 

ファンの目に触れないような通路などの天井、壁などは

極力簡素な造りになっていたのだ。

 

エアダクトなどはむき出しの所が多く、

構造上問題ないところは「壁」というよりは「仕切り」に感じる。

実際、様々な工夫で建設費を抑制したことこそ「メジャー仕様」なのだ。

 

坊っちゃんスタジアムの通路や壁、

ロッカー、会議室などを思い浮かべるとその差は歴然だ。

 

そう「坊っちゃんスタジアム」はあらためて「立派な」球場なのである!

 

 

だから!「愛媛FC」が困っているのである!

 

 

 

(次回、聖地の条件は「箱」≦「人」 につづく)

2009年4月14日(火)

ため息の先に・・・

 

 s-2009 ホーム開幕 .jpg

 

 

今から5年前。

 

日本初の独立リーグ、四国アイランドリーグが開幕する3ヶ月前のこと。

福岡ヤフードームの3塁側ダグアウト前には

2重、3重の円陣が出来ていた。

最終トライアウトの受験者たちだった。

 

その輪の中心には、石毛宏典さん。

この日、石毛さんは「11分間」に渡り思いのたけをぶちまけていた。

その中にあった一節―

 

「なぜ打てないんだろう。

どうしたら打てるんだろう。

嬉しい、悔しい・・・その都度現れる感情の起伏。

その振れ幅がこれぐらい(指先程度の)奴と

これぐらいの奴(両手を広げた位)。

それが大きい奴ほど、人間的に魅力がある。魅力がある。

そこに人間臭さが出てくる。

 それを、お客さんは見に来るんだよ!

 今、そういう奴が少ないから

プロ野球の人気が落ちてんだよ!」

 

 

あの瞬間、「7872人のため息」を君はどう聞いただろうか。

何を感じただろう。

 

忘れてしまいたいが、

一生忘れられない瞬間になったに違いない。

 

しかしスタンドのファンが見たいのは、

そこから君がどうするか― その一点。

 

なぜならファンは、君の背中に自分を重ね合わせているからだ。

 

エラーを見て、スタジアムを去った人を追う必要はない。

立場は違えど、あの瞬間を共有した者同士が

次に向かって何ができるか―

 

あれから48時間が過ぎた。

君はもう、きっと動き出しているに違いない。

 

シーズンはあっという間だ。

しかし必ず、何度か成長のチャンスは訪れる。

それが「今」であることを疑う余地はない。

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