球児から高校生へ 夏の夜の情景
夏の夜の午後8時半。
車での帰宅途中、松山市内城北地区の国道。
信号待ちをしている私。
目の前を1台の自転車が通り過ぎた。
肩に大きなカバンをかけた制服姿の高校生だ。
なぜ「高校生」と分かるのか―
頭の上の「野球帽」だ。
マークを見れば、この日「勝ったチーム」だ。
彼はレギュラーか、控えの下級生か。
全く分からない。
ただ、彼がこの時、満たされた時間を過ごしていたのは
容易に想像がつく。
いつもの帰り道、自転車で「ひとり凱旋パレード」だ。
5分後。
今度はユニフォーム姿の高校生をみつけた。
濃紺の帽子をまっすぐにかぶり
背中の背番号は「16」。
胸のマークを見れば、この日「負けたチーム」だ。
3年生ならきょうで「引退」。
2年生なら、あすから「最上級生」だ。
右手に握った携帯電話の向こうは誰だろう。
3年間のねぎらいか、あすからの日々への激励か。
親か、親戚か、あるいは「もうひとつの青春」の1ページか。
1回戦から2回戦へ。
もう、大会参加の半数のチームで3年生が現役引退し、新チームがスタートしている。
そして暑い夏は続く。