「全部出し切ったんやないのか〜っ!毅然とせいっ!」
試合後のベンチ裏通路。場所は坊っちゃんスタジアム。
声の主は、大野康哉監督。
そう、今から1ヶ月前の7月21日、
今治西は5季連続甲子園の夢が絶たれた。
誰もが今治西の優位は揺るがぬと思い、
なによりも選手自身が勝利を信じて疑わなかっただけに
その敗北のショックは相当なものだったことは想像に難くない。
そして冒頭の言葉である。
もちろん泣きじゃくる選手たちへ
大野監督流のねぎらいの言葉であるのは間違いないところ。
ただ、「全部出し切る」とは一体どういうことなのか。
負けたこと、ありますか―
一般的にスポーツ競技で「負ける時」というのは、
相手によって、敵によって、ライバルの力によって
自分の力を出せないよう相手にうまく立ち回られる場合が多い。
つまり、「本来の力なんか全く出し切らせてもらえない」状況だから負ける。
逆に、勝つためには「相手に力を出し切らせないようにしていく」のが常道だ。
なにも競技の最初から最後までずっと優位に立ち続けることではない。
それはとても難しい。
明らかに優位に立てるパートは、何も考える必要もない。
問題は「互角の勝負」にならざるを得ないパートだ。
そこで考えなければならないのが
「少しでも相手の調子を狂わせる方法はないか」。
その手法としては、「腕力」だったり「奇襲戦法」だったり、
はたまたスタンドの「大声援」だったり、それは本当に様々だ。
ただ最終的にはやはり、「目標を絶対に達成してやろう」という
「強い気持ち」が必要になってくるであろう。
結局、これを「全て」のエネルギー源としてやっていくしかない。
では「全て」とは何か。
競技中のパフォーマンスのみを指すわけではない。
・試合運び、レース展開などのイメージ作り、その裏づけ理論。
・リカバリー方法。相手の出方、リードされてから逆転への理論展開。
・ケガ、故障を負ったまま、出場せざるを得ない場合の心と体のバランス。
・競技者が同士が互いの戦術等を出し切ってもなお勝負が決しない場合、
残された最後の領域としての肉体的強さ。
こうした様々なチェックポイントを日頃から準備していって初めて
「土俵の上に立つ」権利があるといえる。
そして初めて、相手の調子を狂わせるような
プレッシャーを掛けていくことも可能になる。
「強い気持ち」は欠かすことはできない。