
「やかましいんや!わからんのか!」
見るとそこには50歳代ぐらいの男性。
サンダル履きからしてもご近所の方だろう。
「申し訳ありません」
そう返事をしたのは1人の監督。
某高校の硬式野球部の練習を見学していた時のことだ。
時刻は午後8時50分。
練習も終了間際、選手全員が声を合わせて
グラウンドを周回していたのが引き金となったのだろう。
監督に聞けば、町内会との話し合いで
午後9時までは、許容範囲として折り合いはついているとのこと。
直接グラウンドに来てのクレームは初めてということで、
男性もこの日は、余程虫の居所が悪かったのかもしれない。
だが、この野球部は曲がりなりにも県内屈指の伝統校の1つ。
選手が声を合わせてグラウンドを周回するなど
今に始まったことではない。
居合わせた私も、正直この程度で?と首をかしげるほどだった。
誤解を恐れずに言えば、この高校の近くに居を構えるということは
その声も覚悟の上ではなかろうかと。
「すいませんでした!」
直後、選手たちが声を揃えてその男性に謝罪した。
しかしその様子は不憫でならず、正直憤りさえ覚えたが
その一方で・・・ふと思った。
もしかするとこれは
『いかにチームが低迷していたか』の表れなのかもしれないと。
2つ考えられる。
午後8時50分まで練習をすることなど最近は無かったか。
または、最近は苦情を受けるほどの「声量」ではなかったか。
やっと苦情が来るようになった―
どちらにしても、夏は近い。
選手の声量は日に日に上がり、
練習時間も遅くなっていくだろう。
苦情に訪れた男性との戦いは続くかもしれない。
しかしそれこそが、「伝統校復活」の確かな手応えと考えたい。

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